★キューバ共和国大統領ディアス=カネル・ベルムーデス インタビュー:イグナシオ・ラモネ(ジャーナリスト) 

キューバは決して傍観してこなかった

 

第3ブロック:国際政治

 

イグナシオ・ラモネ:大統領、インタビューの3つ目のテーマ、国際政治に移りましょう。

 

何年も前から、キューバは、国連総会において、キューバに対する米国の不法な制裁に対して大きな勝利を得ています。しかし、この勝利が具体的な成果につながっていないのは明らかです。米国は譲歩せず、封鎖を解除していません。封鎖解除に向けて、どのような新しいイニシアチブを発揮できますか? お聞きしますが、例えば、バイデン大統領と直接話をしようとしましたか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:ラモネさん、あなたこのテーマについて持っている観点は正しいです。また、いくつか考えるところもあります。世界の主要国、あるいは世界で最も強力な大国が、イスラエルからの支持しか得られず、その他の国々は、国連総会で毎年提出されているキューバの封鎖反対決議に賛成票を投じています。昨年は31回目の総会で封鎖が多数決で非難されたにもかかわらず、何の回答も示さないということがあり得るでしょうか。これは帝国の傲慢さを示すだけであり、もっと深刻で、誰もが学び、教訓とすべきことを示すものです。世界の他国の意見を無視するものです。アメリカ政府によるキューバ封鎖のように、小さな国が犯罪的で大量虐殺的な封鎖を受けることを全世界が恥ずべきことだと見なし、この世界的な要求に耳を貸さないことは、私たちの国民に対する軽蔑です。

 

 

米国政府のキューバに対する封鎖のように、小国が犯罪的でジェノサイド的な封鎖にさらされていることを全世界が恥ずべき事実と見なし、この世界的な要求に耳を貸さないことは、私たちの国民に対する侮辱です。そして、いいですか、この要求は国連での投票で表明されるだけでなく、年々、封鎖に反対する決議や封鎖を非難する措置を可決する国、国の組織、地域ブロック、国際機関でもますます一般的になっていることに注目してください。 国連総会でも、名指しで封鎖反対を訴える国の指導者が増えています。たとえば、前回の国連総会で封鎖問題が討議された際には、世界44カ国の首脳が封鎖反対を名前を明らかにして表明しました......。

 

イグナシオ・ラモネ:あらゆるイデオロギーの国々ですがね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:あらゆるイデオロギーから、封鎖に反対する声が上がりました。例えば、アフリカ連合、77グループ、CELAC、ALBA、これらはすべて地域ブロックです。国連事務総長の報告書に対して、封鎖に反対するキューバの立場を支持する勧告を行った機関も含まれています。そして、封鎖に反対する抗議活動が、毎日、毎週、週末ごとに、世界中で行われています。私たちは、昨年だけでも2,000件以上のキューバ支援のデモを登録し、今年に入ってからも、封鎖に反対する数え切れないほどの時期がありました。

 

私たちは、米国政府の現政権に対し、直接的・間接的なルートを通じて、キューバと米国の関係に関わるすべての問題、彼らが議論したいすべての問題について、条件なしに、対等な条件で話し合いのテーブルにつく意思があることを明らかにしてきました。

 

なぜなら、結局のところ、封鎖は一方的な関係だからです。キューバが米国に影響を与えたわけでもなく、キューバが米国政府に対して何か行動を起こしたわけでもなく、封鎖を一方的に科したのは米国政府であり、したがって封鎖を一方的に解除しなければならないのも米国政府だからです。私たちは、封鎖を解除してもらうために好意を求めたり、特別の行動をしたりする必要はありません。単にキューバ国民の権利なのです。キューバ国民が平和で平等な雰囲気の中で、強制的な措置や押しつけなしに発展できる権利です。しかし、米国政府は、これに回答を与えたことはありません。

 

イグナシオ・ラモネ:現政権もですか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:現政権もです。

 

私たちは、現政権にはキューバに対する状況を変える意志がないと確信しています。とりわけ、フロリダを拠点とするキューバ系アメリカ人マフィアという少数派の利益を優先した政策をとっているため、私たちが望むような関係を築くことが難しいのです。イデオロギー的な相違は常にありますが、隣国間の洗練された関係であれば、生活のあらゆる分野での協力、経済、通商、科学、金融、文化交流が可能です。それは、米国が自国の立場を共有しない別の国々とも持っているような、正常な関係になる可能性があります。

 

イグナシオ・ラモネ:大きく敵対していた国々ですね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:大きく敵対していた国々です。 では、米国は、なぜキューバには、これほどまでに激怒しているのでしょうか?

 

私たちは、私たちの善意を提起しました。なぜなら、さらに、私たちは違いを作っているからです。私たちは、アメリカ国民とは何も問題がありません。問題は、米国政府との問題なのです。

 

イグナシオ・ラモネ:2期にわたってオバマの副大統領を務め、オバマが関係の雰囲気を、関係変え、関係が再確立した時の副大統領であるバイデン大統領が、このような立場をとっていることをあなたは、どう説明しますか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:説明できません。

 

オバマは別の関係を築き始めたのです。

 

イグナシオ・ラモネ:バイデンの妻はキューバにいましたが、彼女は教授であるため、経験の非常に良い関係を持っていました。このことを、どう説明しますか。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:それは、米国では政党の問題ではなく、民主党も共和党と同じように行動するという事実によってのみ説明できます。軍産複合体があり、その背後には別の権力構造があり、それが影で米国政府の立場を決定しているのです。 権力の立場です。そして、一連の利害に従い、特に選挙上の理由から、キューバ系アメリカ人マフィアの立場に従属している状況なのです。

 

イグナシオ・ラモネ:次の選挙でこの状況が変わったり、修正されるという希望はありますか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:できれば変わってほしいものです。できれば、私たちのすべての立場について面と向かって話し合える場ができ、別のタイプの関係が生まれ、封鎖が解かれることを望みます。しかし、私の信念は、私たちは私たちの能力、仕事、才能、知性、努力によって、自分たちの手で封鎖を克服しなければならないということです。それが、私たち国民に対して何年もの間こうしたジェノサイド的封鎖を継続する強情に対する最善の回答でしょう。

 

イグナシオ・ラモネ:特に驚いたのは、バイデンがテロ支援国リストを維持していることです。それは、トランプが退任する少し前に採択したものです。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:彼は、それをしっかり維持しています。

 

しかし、それに加えて、バイデン政権はキューバに対して非常に陋劣な表現と行動をとってきました。 COVID-19の肺呼吸器のことを、あなたに話しましたね。COVID-19では、私たちの医療用酸素製造工場が影響を受けており、必要な製品をより短時間で国内に供給できる地域の国々から医療用酸素を買いに出かけたところ、米国政府は、医療用酸素を供給できる企業に圧力をかけ、その酸素がキューバに届かないようにしたのです。これは完全に犯罪的行為です。 想像してみてください。パンデミックの最中に、集中治療病棟があり、呼吸器系の問題を抱えた人々がいる中で、そのような人々がサービスを拒否され、死に追いやられたのです。そのような状況を打開するために、私たちは他国の協力を得て、多大な努力をしなければなりませんでした。

 

ラモネさん、これは大変凶悪なことで、忘れてはならないことです。 彼らはキューバのCOVID-19の状況を操作したのです。彼らは、私たちよりもより困難な状況でした。私たちはCOVID-19への対応を、金と富を持つ米国政府よりもより良く行いました。 彼らはSOSキューバを呼びかけ、メディアを操作し、2021年7月11日の出来事が起きたのです。

 

今日、彼らは、7月11日の出来事のせいで、キューバとの関係においてもう一歩先に進んでいないと主張するような、鉄面皮です。 これはとてつもない恥知らずの考えであり、世界に自分たちの立場を正当化するためのとてつもない嘘なのです。

 

イグナシオ・ラモネ:特に酸素については、彼らは、封鎖は食料品や医薬品には適用されないと主張していましたが、実際、このこともまた真実でないことが示されましたね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:そうです。封鎖がすべてなのです。

 

イグナシオ・ラモネ:現在流れている情報では、バイデン大統領が予備選で副大統領を発表し、今度はカマラ・ハリスではなく、ミシェル・オバマになるということです。もしこれが本当なら、もしそれが正しく、確認されれば、一定の希望が残ると思いますか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:現在のところ、すべては純粋に憶測の域を出ないと思います。今日、アメリカの状況、国内情勢において、国民が投票においてどちらに賛成するか、あるいは賛成しないかを客観的に予測することは不可能だと思います。さらに、妊娠中絶のような、非常に国内的な問題もありますし、パレスチナのような国際的問題、ウクライナ戦争の問題もあります。つまり、アメリカ国民の意見、アメリカ国民の生活には、さまざまな状況があります。それで、アメリカ国民の投票がどちらの側になるか、正確にいうことはできないと思います。未決定の人々もたくさんいますし、諸政党の中にも自らを孤立する立場があります。いずれにせよ、ミシェル・オバマのような人物の発表は、違った読み方をする可能性があります。

 

イグナシオ・ラモネ:大統領、あなたはモスクワから戻られましたが、ナチズムに対する戦勝を記念する式典に参加されたほか、プーチン大統領の就任式にも参加され、最高ユーラシア経済評議会の本会議でも演説されました。新たな経済同盟を模索しているのでしょうか? キューバはBRICSのプラットフォームに何らかの形で参加しようと考えているのでしょうか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:今回の旅は、大変興味ある旅でした。というのは、記念すべき旅であり、別な言い方だと、興味深い重要な出来事の旅でした。

 

まず第一に、私たちがモスクワに到着したのは、プーチン大統領が就任式を行っていた時でした。そこでは、私たちは、招待されていませんでしたので、参加しませんでした。つまり、非常に国内的な式でした。

 

イグナシオ・ラモネ:プライベートなものでしたね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:国にとっては非常にプライベートなことですが、私たちはプーチン大統領の招待でロシアを訪問しました。

 

というのも、私たちが最高ユーラシア経済評議会に直接参加したのは初めてのことでした。 なぜなら、最高評議会にこれまで参加したのは、COVID-19のときでした。そこで、ビデオ会議を通じて、バーチャル参加をしてきました。したがって、これは新たな同盟を結ぶという問題ではなく、私たちが長い間結んできた同盟なのです。また、最高評議会が開催された当時は、ユーラシア経済連合設立10周年記念の年でした。したがって、私たちがオブザーバー国の地位にあるこの地域統合の成果を検討する時期でもありました。そして、同じ日にソ連・キューバ関係樹立64周年記念を祝していました。この関係は、現在ロシア連邦との関係で継続しています。しかし、重要な要素があります。ユーラシア連合諸国との関係で継続しています。かつてのソビエト連邦の共和国であった、ベラルーシのルカシェンコ大統領が私に行った行動ですが、ルカシェンコは私にこう言いました。「これは、すべての国の記念日である。なぜなら、すべての国はソ連の一部だったから」と。

 

イグナシオ・ラモネ :ソビエト連邦のメンバーでしたね。

「私たちはユーラシア経済連合最高評議会に初めて直接参加しました」。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:この10年間で、ユーラシア連合は経済と貿易の発展に大きな能力を発揮し、この地域の国々の国内総生産が大きく成長し、これらの国々の経済発展と相互補完性に関して非常に公正な原則を守っていると思います。

 

私たちにとって、特にバイオテクノロジーや製薬産業などの分野で貢献することができますし、私たちの医薬品がこれらの国の規制当局に承認されることで、私たちにとってより手頃な市場に参入することができます。彼らもまたそうした医薬品の購入の意図を持っていますし、必要としています。技術移転も必要としており、共同で投資することもできます。また、これらの国々からの投資家が、わが国の経済・社会開発プログラムに参加する余地も生まれます。 また、ユーラシア連合の重要な課題のひとつである食料主権、環境の持続可能性、つまり持続可能な開発、環境の尊重、持続可能な文化の発展、食料主権、再生可能エネルギーの開発についても、彼らと共有することができます。ですから、ユーラシア連合は、私たちにとって重要な場所なのです。

 

BRICSは、国際関係におけるアメリカの覇権主義からの脱却を期待させる国々のブロックであり、今日の世界における選択肢のひとつだと思います。したがって、BRICSは、別の選択肢となっており、BRICSは、「南」の国々にも開かれているのです。

 

イグナシオ・ラモネ:1月1日に拡大したばかりですね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:BRICSは拡大したばかりで、アフリカ大陸やラテンアメリカ・カリブ海諸国との関係構築に意欲を示しています。より一致した、より平等な、尊重の関係が作られています。その一方で、BRICSはドルに代わる通貨を提案し、各国の自国通貨による貿易や、各国が生み出す製品やサービスの交換に基づく補完貿易を推進しています。

 

イグナシオ・ラモネ:ジルマ・ルセフが総裁を務める開発銀行もあります。       

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:「南」の問題に対する政治的ビジョンを持つ指導者として知られるジルマが総裁を務める開発銀行があります。 彼らが率いる5カ国はBRICSの創設国であり、キューバと良好な関係を維持しています。私たちは、キューバがBRICSへの加盟を研究し、観察していますが、そのことをプーチン大統領との会談で説明しました。キューバは、BRICSに入ることを熱望しています。

 

イグナシオ・ラモネ:次のサミットはロシアで、正確には10月にカザンで開催されますが、大統領は出席される予定ですか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:すべては今後の状況の展開次第です。

 

イグナシオ・ラモネ:新しいタイプの加盟国、つまりパートナーか準加盟国を作ろうとしているようですが、キューバが入る余地はあるのでしょうか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:キューバが入る余地はあるでしょうし、BRICSを率いる国々とのコンセンサスにもよりますが、例えば、南アフリカ・サミットでは、キューバは非常に一貫して、国としてだけでなく、77+中国を代表して参加することができました。 というのは、私たちは77+中国の当番議長国だったからです。キューバが、77+中国を代表して表明する提案をすべて聞いてくれましたし、キューバの立場もまた、受け入れてくれました。これは「南南」関係にとって非常に好ましい環境であり、必要な新国際経済秩序のための新たな展望を開くものだと思います。

 

イグナシオ・ラモネ:大統領、そろそろインタビューも終わりに近づいてきました。最後の質問は、ラテンアメリカについてです。

 

ラテンアメリカ・カリブ海においては、危機が広がっています。エクアドルのメキシコ大使館が襲撃され、アメリカ南方司令部がガイアナに軍事基地を建設しています。このことは、ベネズエラとその歴史的な領有権であるエセキボへの脅威となっています。アルゼンチンでは、ハビエル・ミレイ大統領が数十年にわたる社会的進歩を破壊しつつあります。 ハイチでは、困難の終わりが見えません。これらの状況をどのようにお考えですか? また、この地域の主権、平和、進歩を促進するために、キューバはどのような貢献ができますか?

 

ミゲル・M・ディアス=カネル: これは、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の場合、世界レベルで存在し、地域レベルでも顕在化しているあらゆる矛盾の表れです。これは、帝国がモンロー・ドクトリンを維持し、米国人のためのアメリカという帝国主義的概念を持ち続けていることの表れでもあります。そのアメリカは、この米州大陸に生きているすべての人々にとってのラテンアメリカ・カリブ海ではありません。ラテンアメリカとカリブ海諸国は、米国と帝国の力に従属させられているのです。ですから、これはまた、私たちの民族を侮蔑する米国の観点の表れであり、ラテンアメリカとカリブ海諸国を裏庭とする米国の観点の表れでもあります。

 

現在、ラテンアメリカ・カリブ海諸国には、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアのように、最大の災厄、圧力、制裁、侮辱、侵略、干渉を受けながらも革命プロセスを維持してきた政府グループがあります。

 

ラテンアメリカ地域の左翼勢力に有利な相関関係を提供する進歩的な一連の政府があります。ボリビア多民族国、ブラジルのルーラ、ロペス・オブラドール、ホンジュラスのシオマラ、チリのボリッチ、コロンビアのペトロなどです。これらの政府は、地域の安定性があるように、協力と交流があるように、助け合っています。しかし、米国は、これに黙っていません。常に右翼を道具として動員しようとしています。これらの国々で、左派のプロセスや左派政権が政権を維持するのを阻止し、左派が政権を失い右派が政権を確立した場所では、右派が政権を失わないようにしています。

 

イグナシオ・ラモネ:右派権力が維持されますね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:そしてこの右翼は、米国政府と米国の意向に完全に従順な右翼であり、また歴史的な要素を持つ特定の問題で論争をあおり、地域の不団結を引き起こすために断絶を促し、中傷し、分裂を煽っているのです。

 

今日、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の領土にNATO軍が駐留することを支持する政府を含め、この大陸において米国のあらゆる政策を助長する政府が存在すること、また、自国の領土の主権と自決権を否定する政府が存在することが問題です。そこには戦争が存在し、その領土の独立のために、主権のために死んだ英雄や殉教者がいるのです。彼らがしていることは、この地域に属する地理的空間の宗主国となった大国に媚を売ることであり、まったく馬鹿げていて、非合理的で、非国民的なことです。さらに、自分たちの主義主張を表明するメディアを持つ諸政府ですが、私たちのように異なる考え方をする人々や、異なる方法で物事を進めようと考える人々、あるいは世界を構築する別の方法を擁護する人々に対しては、まったく攻撃的で侮辱的です。私は常に熱望していますし、また私たちは、フィデルが私たちに呼びかけた、より良い世界は可能であるということのために全力を傾けるつもりです。

 

私たちには、倫理があります。だれの背中に向かっても話しませんし、侮辱しません。私たちは、ある立場を守らなければならないときには、それを正面から擁護し、ある立場について議論しなければならないときには、それを正面から議論します。しかし、私たちは、世界で他の人々が行っているような、メディアのショー、悪口、侮辱、政治的下劣さ、は好きではありません。

 

キューバの立場として、私たちは常に、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の主権と独立を尊重し、それらの国々が採用する社会政治システムに対する自決権を尊重し、制度やイデオロギーに関係なく、これらのどの国とも最も尊重し、連帯し、協力的な関係を持つ立場を維持し、擁護します。

 

私たちは、ラテンアメリカ諸国との関係を断絶することは決してありませんし、私たちが何らかの相違点を持ち、立場が異なる可能性のある問題については、対話を通じて、討論を通じて、議論を通じて、解決するように努めています。

 

キューバがラテンアメリカ・カリブ海諸国との連帯を表明していることは、こうした信念の一貫性を雄弁に物語っていると思います。 私たちは、ラテンアメリカ・カリブ海諸国のいくつかに、医師や教師、工学や経済・社会の他の分野でも国際主義的な協力者を派遣してきました。

 

私たちは、ハイチに軍隊や武力を派遣することも、侵略することもありません。 こうした状況の中で、多くの人々がハイチへの介入やハイチへの内政干渉を考えている今日、私たちは医療使節団を派遣し、ハイチの人々にサービスを提供しています。ハイチは、革命を行った最初の国であるという結果から、いろいろなことに苦しんだので、最大の敬意を払うに値すると、私は思います。

 

イグナシオ・ラモネ:最初に独立したのですよね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:尊敬すべき民族であり、長い間介入を受けてきた民族です。その自由のために債務を支払わなければならなかった民族です。これは、まったく不当です。つまり、カリブ海の人々に対する奴隷制の賠償が必要なのと同じように、ハイチに対する賠償が必要なのです。ハイチは、残りのラテンアメリカ・カリブ海諸国との団結を破壊するために、常に米国政府の圧力のもとにおかれているのです。

 

私たちは、ロペス・オブラドール政権やメキシコとの間に、感謝と、多大な友情と兄弟愛の関係を築いています。キューバとメキシコの関係は、親密で歴史的な関係であり、兄弟の関係であり、家族の関係です。メキシコは、米国政府がOAS全体にキューバとの関係断絶を呼びかけたとき、キューバとの関係を断絶しなかった唯一の国です。

 

私たちはベネズエラの大義、チャベス革命、軍民の団結を擁護し、彼らが暗殺しようとさえしたマドゥロ大統領を支持します。

 

イグナシオ・ラモネ:何度も暗殺しようとしています。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:異常なことです。

 

私たちはサンディニスタ革命を支持し、プエルトリコの自決を要求し、ボリビア多民族国の原則を擁護します。 ホンジュラスでシオマラが果たしている役割や、CELACの議長としての役割にも非常に関心を持っています。現在、ルーラと、大変密接な関係を持っています。

 

イグナシオ・ラモネ:カリコム諸国とも。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:カリコム諸国とは、最終的にはラテンアメリカ・カリブ海諸国全体とですが、常に尊敬、連帯、友好、そしていかなる状況も解決するための対話に基づいています。

 

その一方で、ハバナで開催されたCELAC首脳会議で承認された「ラテンアメリカ・カリブ海地域平和地帯宣言」を守るつもりです。

 

私たちはまた、ラテンアメリカ・カリブ海地域の統合を守ります。それは、私たちの英雄たちの夢に応えるものであり、ラテンアメリカ統合の最高の理想に応えるものです。今、私は、マルティとボリーバルのことを考えています。 マルティは、常に「われらのアメリカ 」に敬意を表し、「われらのアメリカ 」とは何かをよく定義していました。そしてボリーバルは、多くのラテンアメリカ諸国の独立のために戦いました。

 

模範を示すことこそ、ラテンアメリカの団結に私たちができる最大の支援だと私は信じています。

 

イグナシオ・ラモネ:フィデルは、いつも団結を擁護しました。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:フィデルがいつも擁護したことは、団結を守ることを私たちに教えてくれました。ラウルもまた、団結を擁護しました。

 

ラモネさん、私たちが夢や願望について話すとき、私たちには共通の歴史があり、共通の文化があり、まったく素晴らしく、勤勉で、知的で、創造的な国民がいます。コロンブス以前のラテンアメリカの文化は、メソポタミアの文化や古代ギリシャの文化をうらやむ必要はありません。しかし、歴史をさかのぼれば、私たちの発展、時間の測り方、水路の作り方、生産方法、発展が、それらと同じくらい発展していたことがわかります。これは、私たちのルーツですし、ラテンアメリカ・カリブ海のすべての国で見ることができます。

 

私たちの文化的な豊かさ、ラテンアメリカ・カリブ海諸国における先進的な考え方、ラテンアメリカの思想家、哲学者、ラテンアメリカの学術部門によるアプローチは、ラテンアメリカ・カリブ海諸国のアイデンティティのルーツを守るための先進的な立場であり、多くの研究、多くの首尾一貫したものです。さらに、資源をもっている大陸です。しかし、残念ながら、国民の間には、大きな不平等見られます

 

これらすべての美徳、すべての富、そしてこれが私の夢ですが、ラテンアメリカ大陸は、人間の条件、未来、解放の夢、世界のために行われるすべてのことの中心に人間を据えることに貢献できる、全世界の模範となりうるほど統合されることができると確信しています。そういう時は、遅かれ早かれ来るでしょう。なぜなら、私たちの国民は、多くの正義を要求しているからです。彼らは多くの困難な状況を経験しているからです。彼らは侵略を経験し、侮蔑を経験し、介入を経験し、不平等の慣習を経験し、発展のプロセスから排除され、可能性から排除されてきました。

 

ラテンアメリカ・カリブ海諸国には、解決しなければならない非識字問題がまだたくさんあり、ジェンダー問題で前進しなければならないことがたくさんあり、素晴らしいラテンアメリカ・カリブ海諸国の女性の解放のために達成しなければならないことがたくさんあり、すべての国民の平等と社会正義の面で克服しなければならないことがたくさんあります。

 

しかし、そのための歴史的な可能性、文化的な可能性は、あるのです。    

 

イグナシオ・ラモネ:そうした願望がありますよね。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:そうしたいという願望があり、私たちはこれからも統合を進めていくでしょう。それが、キューバが与えることができる、メッセージであり、確信であり、支援であり、模範なのです。

 

ラテンアメリカの国々は、キューバが自分たちにとって危険な存在だとは決して思わないでしょう。逆に、キューバにおいて、常に統合と前進のための支援、理解、政策を見出すことができるでしょう。       

 

イグナシオ・ラモネ:大統領、時間をさいていただき、ありがとうございました。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:いいえ、こちらこそ、ありがとうございました。ご一緒できて光栄でした。

 

イグナシオ・ラモネ:ありがとうございます。

 

ミゲル・M・ディアス=カネル:次回は、私が、あなたに質問します(笑いと拍手)。

ラテンアメリカ大陸は、全世界の模範となるような統合を遂げることができるでしょう。

 

(新藤通弘訳)

 

▶︎第1ブロック:キューバの国内政策について

▶︎第2ブロック: キューバ経済について