★キューバ共和国大統領ディアス=カネル・ベルムーデス インタビュー:イグナシオ・ラモネ(ジャーナリスト)
キューバは決して傍観してこなかった
第1ブロック:キューバの国内政策について
イグナシオ・ラモネ:最初の国内政策に関する質問は次のようなものです:
キューバの多くの家庭にとって、ここ2、3年、日常生活は特に困難になっています。食料不足、インフレ、公共サービスの不足があります。米国が違法に科した経済、通商、金融の封鎖はすでに存在していましたが、私がお聞きしたいのは、このような形で事態が悪化したのは、最近になって何が起きたからなのかということです。
ミゲル・M・ディアス=カネル:さて、ラモネさん、まずはあなたと話す機会を与えていただいたことに感謝します。観点をあなたと共有し、またこれらのテーマであなたの意見を聞くことができるのは、大変興味あることです。あなたは、大変興味ある質問をしていただきました。というのも、多くの人が、これほど長い間封鎖が続いているのであれば、現在の封鎖を特徴づけるものは何なのか、と尋ねるからです。
まず第一に、今日の封鎖は質的に異なる特徴を持っているという事実から始めなければならないと思います。今日私たちが話しているのは、封鎖の強化についてであり、さらにこの強化は、米国政府が気まぐれに決定した、テロ支援国とされる偽りのリストにキューバが含まれているという、もう一つの要素によって支えられています。
とりわけ、2019年まで、あるいは2019年後半までのキューバ国民の生活がどのようなものであったか、そして2019年後半以降の生活がどのようなものになったかを比較すれば、ある時期から次の時期にかけて何が変化したかを説明するのに最適な方法だと思い、比較をしようと思います。
そもそも私たちは、60年以上もの間、封鎖によって科せられた制限と逆境に苦しんできた国です。政策としての違法、不当、時代錯誤な封鎖、そして何よりも、米国政府の傲慢な視点が込められた封鎖です。
キューバは、決して傍観してきたわけではありません。私たちは、抵抗能力を発展させました。新型コロナでの経験を踏まえれば、それは創造的な抵抗であるとさえ言えるでしょう。なぜなら、キューバは封鎖の猛攻撃に抵抗できただけでなく、このような状況下で前進し、貢献し、国家として成長し、さらに発展してきたからです。すなわち、抵抗し、何もしなかったわけではないのです。
このようなコンセプトと革命の持つすべての戦略の下で、私たちは、一定の経済活動、輸出、国民に大きな影響を与える社会計画への支援を維持することができました。まさに封鎖の影響によって、私たちの夢が停止されましたが、あるいは私たちのすべての願望が空回りとなりましたが、私たちは生きてきました。はっきり言って、封鎖は、私たちの経済発展に最もブレーキをかける原因です。私は、いつもこう言います。封鎖されていて、これほど多くのことができたのであれば、封鎖されていなければ何ができたのだろうかと。しかし、これは研究、検証、データの分析によって論文にしなければならない仮説であり、今、私たちに関係することではありません。
2019年、キューバは、国際市場において輸出可能で競争力のある生産物から輸出収入を得ました。なぜなら、国の経済活動が活発だったからです。国はかなりの家族送金を受け取りました。また観光活動によっても顕著な収入がありました。私たちは、ほぼ400万人の観光客を受け入れるに至りました。また、いろいろな金融機関のクレジット、良好な関係がある国々から政府クレジット、また私たちが作り、支援することができる機関の計画のクレジットを受け取りました。
その一方で、友好国や姉妹国との協定に基づく燃料の安定供給もありました。つまり、これらの協定に基づき、私たちは受け取った外貨収入から実質的に燃料費を支出する必要がなかったのです。なぜなら、燃料は、私たちはそれらの姉妹国に供給するサービスとのバーターですから。
したがって、このようなすべての条件のもとで、私たちは外貨収入を得て、封鎖の制限のもとで、主要な生産工程を開発するための原材料を輸入することができました。基本的な食料配給品を満たす食料を購入することができ、食料品や、当時はCUC(外貨ペソ)で営業していた店舗や国内市場に流通する商品を自国通貨で購入することもできました。
外貨準備も十分あり、国が管理する合法的な為替市場で、外貨を自国通貨と等価で売買することができました。外国からの投資も含め、キューバに投資している国や企業に対する債務を支払う能力もありました。また、交換部品や、キューバ経済にとって最も重要な消耗品を購入するための資金にも余裕がありました。
したがって、国内市場には供給があり、適切な需給関係があったため、インフレ水準は低く抑えることができました。
こうしたことがフィードバックを生みました。生産過程、生産の良好な活動は、より輸出可能な資金は、より収入を生み出しました。観光業が発展し、より多くの収入がもたらされ、これらすべてが一体となり、私たちは、私たちが熱望する繁栄を達成することなく、安定した一定の状況に達したと言えるでしょう。また、私たちは私たちの経済・社会システムの改善の過程にいるとともに、他方では、2030年までの全国経済・社会発展計画に関係するあらゆる一連の提案、観点、政策を進めています。私たちは、このような状況にあったのです。
イグナシオ・ラモネ:それは2019年まででしたね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:2019年後半までです。
2019年後半、トランプ政権は封鎖を強化する240以上の措置を適用します。ここから第一の概念:強化された封鎖が始まります。 彼らは封鎖を強化し、ヘルムズ=バートン法のタイトルIIIまでもが初めて適用されます。これは、これまで適用されたことがなかったもので、外国人投資家、すでに投資している人々、投資を考えていた人々への圧力、そして革命初期に革命政府が正当に行った収用の一部を受けた人々への支援など、とりわけ多大な影響をもたらします。
革命のヒューマニズム的観点からすると、COVID-19の主な目的は人々の命を救うことでした。そのため、すべての努力と国内に流入したわずかな資金の重要な部分は、この目的のために投入されました。
米国政府がアメリカ人のキューバへの渡航を拒否したため、観光客は顕著に減少し、キューバへの観光客流入の重要な部分を占めていたクルーズ船は停止され、石油と金融における莫大な妨害が組織されました。 92以上の銀行や国際金融機関が、米国政府から制裁や圧力を受け、キューバとの金融取引関係を停止しました。
キューバにとって重要な収入源であった送金も途絶え、その一方で、安定的に燃料を供給してくれていた友好国や兄弟国に対しても圧力をかけ、多くの制裁を適用しました。 そのため、燃料が不足し始め、外貨準備が不足し始めました。
一方では、国産の原油で火力発電所の稼働を保障することができるため、国の電力システムは不安定になります。しかし、火力発電所では、特にピーク時の電力需要をすべて賄うことはできず、主にディーゼルや重油で稼働する、他の分散型発電所を立ち上げなければなりません。それらの燃料がない場合は、電力不足となります。
その一方で、外貨準備が少ない時は、国の電力システム全体を維持するために必要な投入資材やスペアパーツの購入が間に合わず、しかも、このシステムはすでに一定レベルの時代遅れが進んでいるため、故障が増え、メンテナンスに時間がかかるなど、国の電力システムの安定性が損なわれ、このような状況下で、迷惑な停電に悩まされるようになりました。 このような停電を減らすために、私たちは生産活動のレベルを下げたり、制限したりしなければなりませんでした。
そして、同じ外貨の制約の一環として、重要な生産工程に必要な特定の消費財や原材料が不足し始めました。 そして、わずかな外貨を燃料の購入に使わなければならなくなりました。
国際市場の価格は上昇しています。なぜなら、これも世界が苦しんでいる多次元的危機の一部だからです。
イグナシオ・ラモネ:COVID-19も始まりまりましたね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:2020年に始まるCOVID-19があります。 さらに、多次元的な危機の一環として、国際市場での価格高騰の問題があります。気候変動の影響もあり、この間、激しい干ばつや豪雨の影響を受けていますし、経済に大きな被害をもたらしたハリケーンもあります。 こうしたことが、医薬品不足、食料不足、燃料不足という環境を作り出しているのです。
イグナシオ・ラモネ:輸送の問題もあります。
ミゲル・M・ディアス=カネル:輸送の問題です。 また、社会計画や国民の福祉にも影響を及ぼしており、非常に困難な現実を生み出しています。
2020年の最初の月、トランプがホワイトハウスを去るわずか8日か10日前に、彼はテロ支援国リストに私たちを含めました。
イグナシオ・ラモネ:テロ支援国リスト入りですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:すると、それから突然、すべての銀行機関や金融機関が融資を停止しました。したがって、今や、今週稼いだお金を、一週間分の収入ではまかないきれない、国が抱える膨大な数の優先課題にどう配分するかということです。
そのため、増加していた外貨準備が影響を受け始めており、外国企業への配当金支払いや、取引のある国や企業への債務を期限内に支払うという約束を守り、履行する能力がなくなっています。
イグナシオ・ラモネ:パリ・クラブもそうですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:私たちは、商品やサービスを提供するために必要な、すべての強度と能力をもって経済活動を発展させることはできません。このため、需要と供給の間に大きな不均衡が生じ、その結果、物価が上昇し、非常に大規模なインフレが起きています。
その一方で、合法的な国の為替市場を効率的に運営するための外貨の供給力がないため、違法な市場が形成されているのです。
イグナシオ・ラモネ:並行市場、闇市場ですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:並行市場もまた、為替レートを操作し、ほとんど価格を押し付ける要素となり、インフレ問題の一因となっています。
COVID-19はキューバだけでなく、全世界に影響を与えました。 そして、私たちの革命に対するヒューマニズム的な観点からすると、COVID-19の間、私たちの主な目的は人々の命を救うことでした。 したがって、すべての努力とキューバに入るわずかな資金の重要な部分は、国民の命を救うために投入されました。第一に、この病気に対処するための手順に基づき、キューバのバイオテクノロジー産業がすでに他の病気用に開発し、COVID-19の条件下で一定の効果を発揮した医薬品やバイオテクノロジー製品を使用したり、再配置したりしました、 科学とイノベーションを生産力として取り入れ、生産、流通、販売のプロセスを組み込んだ閉鎖的な生産方式で、生産的な科学的極を開発するという、特別期間中にフィデル最高司令官が抱いていた全コンセプトの一部です。もし90年代から現在までのそうした発展がなかったならば、COVID-19に対処することはできなかったでしょう。
イグナシオ・ラモネ:では、後ほどCOVID-19についてお話ししましょう。それをどうか話してください。
ミゲル・M・ディアス=カネル:はい、はい。後でお話ししましょう。そして何よりも、キューバの医療システムの努力についてです。
イグナシオ・ラモネ:もちろんです。
ミゲル・M・ディアス=カネル:しかし、間違いなく、他のすべての現象は増幅され、長年にわたって続いています。この封鎖強化の特徴の1つは、共和党政権、トランプ政権によって適用されたということです。 これは4年間にわたる累積的で組織的なプロセスであり、私たちの住民にとっては非常に困難な状況であり、COVID-19についてお話しするときにお見せすることになりますが、とてつもない凶悪性を孕んでいると言えるでしょう。
イグナシオ・ラモネ:大統領、今おっしゃった、キューバ国民にとって非常に迷惑なこと、停電についてお話したいと思います。
ミゲル・M・ディアス=カネル:停電ですね。
イグナシオ・ラモネ:これは多くの国民を最も悩ませている問題のひとつだと思います。 あなたは、国のエネルギー状況をどう評価しますか? 今、いくつかの要因を挙げましたが、キューバ国民にどのような解決の見通しを発表できますか?
ミゲル・M・ディアス=カネル:ラモネさん、私たちがこの会合を開いている現在、私たちはエネルギー問題において、非常に困難な状況にあります。
今日、いろいろな理由により、不安定な発電システムがあります。それを、今、説明します。現在、今週、キューバ全土で深刻な停電に見舞われ、5日以上にわたって24時間、全国の電力システムを停止することができませんでした。このことは、すべての時間に何らかの停電があり、それが継続的に疑いもなく状況に損傷を与え、困難にし、国民生活に迷惑をかけ、未理解が広がりました。
ここには、いろいろな要因があります。まず、火力発電所や火力発電の要素を含む電気エネルギーシステムがあり、これは国産の原油によって解決されています。
イグナシオ・ラモネ:国産というのは、重油なのですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:硫黄分の多い重質原油ですが、それは、設備の修理を必要とし、計画的なメンテナンスを必要とします。全国の発電システムを維持するためには、年間3億ドル以上必要です。しかし、そのための外貨がなかったのです。そのことから、このようなシステムでは通常よりも頻繁に故障や技術的な問題が発生するのです。
もうひとつの発電源は、特にピーク時に使用する分散型発電エンジンで、ディーゼルや燃料油を必要とします。しかし、私たちは、必要とするディーゼルや燃料油を常に十分持っているとは限りません。
こうした封鎖の状況の中で、たとえば、昨年10月から今年の4月まで、ディーゼルや燃料油が国内に入らず、国の備蓄を使い果たしました。なぜなら、貯蓄プログラムもありますので。そのことは、燃料不足から、大変な停電を、特に3月に引き起こしました。同時に、これらの発電機グループには交換部品やメンテナンスも必要で、その影響も出ています。
すでに代替エネルギー、特に再生可能エネルギーの使用が、若干構成要素となっています。
したがって、現状では、燃料の不足、メンテナンスの不足、あるいはその2つの要因の組み合わせによって発電ができないことになります。
現在、私たちに影響を及ぼしているのは、燃料の不足というよりも技術的な問題です。他方では、このような状況の中で、とりわけ夏の間の住民への影響を最小限に抑えることを目的として、私たちはメンテナンス戦略を作りました。そのため、ここ数日、計画されたメンテナンス作業が実施されているプラントがいくつかありましたが、しかし、同時に他のプラントが故障してしまいました。
イグナシオ・ラモネ:大統領、自然エネルギーについてはどうですか?あなた方は、再生エネルギーに努力しているのですよね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:今、あなたは、解決策について話していましたね。
私たちは、風力発電、太陽光発電、バイオガスなど、さまざまなコンセプトの再生可能エネルギーに努力しています。しかし、特に、太陽光発電に対してです。というのは、投資が少なくて、据え付けの期間が短くてすむからです。
現在、私たちは保証付きの一連の契約を結んでおり、2年以内に2,000メガワット以上に達する予定です。 2030年までに再生可能エネルギーを20%以上導入するという目標を達成することができ、エネルギー事情は変わります。私たちは、これらの設備がどのように機能するかにもよりますが、25%、もしかしたらもう少し高いかもしれません。
そのため、ピーク時には分散型発電グループを稼働させず、この新しいエネルギーでその分のすべてを賄うことができるでしょう。
説明するのを忘れていたのですが、火力発電所が稼働しなくなると、特にピーク時に計画されていた配電グループがピーク時以外に働かなければならなくなります。ですから、計画されているよりも使用されますので、その不足を常に補うことにはなりません。
数週間前、エネルギー・鉱山大臣が国民全員に説明したとおりです。私たちは現在、順次、太陽光発電所の設置と運転に着手しており、発電量はこの方法で増加します。つまり、今年、本格的な変化が起きます。来年は、それが強化されます。
これらの太陽光発電所の一部はエネルギーを蓄積し、夜の時間帯に使用できるようになります。 このような可能性が生まれるだけでなく、そのために使用される燃料の消費量も削減されるでしょう。
イグナシオ・ラモネ:発電に使われる燃料ですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:ここには、二つの解決の道があります。つまり、経済、とりわけ食料生産、農業、生産過程のために、より多くの燃料を使うことができるようになるということです。 それらは、現在、燃料の大部分は不足していますので、発電にまわすので、大きな制約を受けています。他方、燃料の購入費用が減るでしょう。
イグナシオ・ラモネ:石油の購入ですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:しかしまた、火力発電所は、より快適な体制で稼働するため、輸出可能な国産原油の消費量を減らすことができます。現在私たちが対策として行っていることは、国産原油生産を引き続き増やし、国産原油を輸出することができるように、一連の前進を図ることです。そしてそのことは、高額のそれらすべての投資資金源の支援を作ることです。それらの発電への投資は、大変高額なのです。
これは最も持続可能な道であり、私たちが環境政策で提案していること、私たちのプログラムやCOP会議での約束、宇宙へのCO2排出量を削減すること、つまり、完全に首尾一貫しており、持続可能な発展を保障するものだからです。
私たちはまた、能力を向上し、私たちの石油精製の工程を現代化し、改善することができるように、外国投資を探しています。そのことはまた、この国産原油を精製することができるようにするものです。
イグナシオ・ラモネ:国産原油を精製することですね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:国産原油を精製し、また輸出可能な、あるいは国内消費に役立つ他の製品を得ることができます。そして国内消費のために原油の輸入を減らすことができます。
国民の文化に根ざした省エネプログラムもあります。
イグナシオ・ラモネ:消費を減らすとともに、無駄にしないことです。
ミゲル・M・ディアス=カネル:消費を減らし、無駄をなくすこと、そしてその一方で、太陽光発電技術の開発が順調に進んでいます。また、照明器具を消費電力が少なく、長寿命のLED照明器具に交換しているところです。
これはよく定義され、よくプログラムされています。 残念ながら、そこに到達するためには、このような事態を経験しなければなりませんが、エネルギー問題に関して、封鎖の影響を克服することができるでしょう。
イグナシオ・ラモネ:大統領、いずれにせよ、あなたがおっしゃるような状況や、以前のような困難や苦難は、最近、キューバでは知られていなかった社会学的現象、つまり社会的抗議行動を引き起こしています。 一方では、多くの人々が現在の状況に耐えかねて移住しており、他方では、大規模なものではないものの、このような抗議行動は異例であるため、驚きをもって受け止められています。
そこでまず、これらの抗議デモの性質をどのように分析し、この状況からどのような教訓を引き出しているのか、説明していただきたいと思います。
ミゲル・M・ディアス=カネル:ラモネさん、まず第一に、私たちの国民は封鎖の影響に苦しんできたと思います。さらに、60年以上、封鎖により蓄積された影響です。革命の初期に生まれた私の世代は、封鎖によるモノ不足に阻まれて生きてきた世代です。
イグナシオ・ラモネ:封鎖が常に存在していましたね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:しかし、私の子どもたちは、封鎖のもとで生まれ、孫たちも封鎖のもとで生まれ、封鎖の状況の中で生きています。ですから、これはキューバの人々に直接的な影響を及ぼしているのです。
正確には、概念的には、キューバ革命を破壊しようとして、米国政府と帝国政策は、どういう政策をとっているのでしょうか?
マロリー・メモランダムと呼ばれる資料がありますが、これはまさに1960年代に国務省のある高官がキューバを評価するために書いたメモに基づくものです。その高官は、革命に対する民衆の支持のレベルを考慮すると、革命を転覆させる方法は経済的窒息であり、国民が苦難と欠乏に苦しむようにあらゆる手段を講じようとすることであり、それが革命との断絶につながり、したがって革命の崩壊につながる社会的爆発を引き起こすことになると述べています。
それが政策であり、基準点であり、基本的な概念であり、封鎖の強化によって彼らが行っていることなのです。しかし、60年間、彼らは私たちを破滅させることができませんでした! 私は今でも、この国民の英雄的精神と、皆さんにお話しした創造的な抵抗の能力を信じています。
今、特に封鎖が強化されているこの時期には、様々な要因が重なっています。長時間の停電、輸送の問題、生活物資の不足、基本的な配給食料の保障の問題、食料の問題、医薬品の問題などです。
停電が起きると、水の供給にも影響が出ます。水供給源もまた、電気で動くからです。たしかに、ポンプシステムに重要な投資を行い、太陽光発電システムに変えようとしています。
ある時点で、いくつかの場所でデモが行われ、一定の参加者がありました。7月11日の事件ではより大規模で、3月17日の事件ではそれほど大規模ではありませんでしたが、メディアは、最大限の圧力をかけるというキューバに対する攻撃的な政策のもう一つの構成要素の一部として、非常に大規模なものとして紹介しました。それは、一方では封鎖の強化により経済を窒息させようとするもので、他方ではメディアによる中毒化です。そこではバーチャルのキューバとリアルのキューバがあるのです。ですから、多くの場所で民衆の抗議行動が起きているのです。
これらの要求の特徴は何でしょうか? これらの抗議活動のほとんどは、平和的な抗議活動の中で行われています。そこでは、大部分の住民が要求したのは、政府による説明です。彼らは革命との決別を要求しているのではありません。人々は、政府機関や党機関に要求したのです。
イグナシオ・ラモネ:それはサンティアゴでも明らかでした。
ミゲル・M・ディアス=カネル:サンティアゴでは。
前提は、私たちは国内生産を奨励する方法を追求していることです。なぜなら、国内生産を奨励することで、私たちは経済主権を手に入れることができるからです。
人々は、そのような状況であるにもかかわらず、説明を求め、状況が特定の条件によることだと確認を求めに行ったのです。それらの人々に対応したのは、それはまさに、党の指導者たちであり、それらの場所の政府や行政の指導者たちであり、そこでは、警察の弾圧もなく、いかなる弾圧もありませんでした。
また、これらの抗議行動には、このような平和的な振る舞いをしない小さなグループもありました。これは帝国が推進するメディアの中毒化が歪めようとしていることの一つです。 これらの人々の多くは、アメリカ政府の破壊計画によって資金を得ており、このような状況に乗じて革命に反対するデモを行うために組織的に資金を受け取っています。しかし、また、革命に反対するデモを行ったからといって、弾圧的な対応を受けることもありません。
イグナシオ・ラモネ:キューバ憲法はデモの権利を保障していますね。
ミゲル・M・ディアス=カネル:抑圧的な対応はありません。民衆の対応があるのです。なぜなら、住民は、過去でさえ、こうした抗議で、「我々が抗議しているのは、政府や党と話し合うことです」。そして人々は、立ち向かうが、反革命のスローガンなどを叫ぶのを許しませんでした。しかし、革命に賛成しない人がもつ意見さえも弾圧されることはありません。何度も起こるのは、それが同じ破壊の基盤の一部を形成しているために、このように革命に抗議する人たち、つまり最も少数である人たちが、抗議行動の中で破壊行為を行い、国有財産や社会的財産を攻撃し、公共の秩序を乱すことです。そうすると、公共の秩序を乱しており、市民の平穏を乱しており、悪事を働き、暴力的な犯罪を犯しているので、思想による対応ではなく、法的な対応、他のすべての国々で行われるような法的な対応が行われるのです。
問題は、国際的なメディアはこのように報道しませんが、別の形で報道されるのです。なぜなら、非通常戦争の脚本、台本があるからです。それは、初めに社会的騒擾、要求、抗議、二番目に政治的弾圧の捏造、三番目に政治犯の捏造、つまり、カッコつきの政治犯の弾圧です。その後、こうした事実から失敗国家があることを示し、その後想像上の人道支援、体制の変換です。これが、今日キューバやニカラグア、ベネズエラに対して適用されている非通常戦争の脚本であり、台本なのです。
つまり、ここには歪みがあり、キューバに存在するこの種の抗議は、あなたが言うように、比較的新しい展開であり、世界は変化し、私たちの社会も変化し、封鎖の強化によって引き起こされた状況も私たちの生活を変化させています。この種の抗議は、対処されていますし、説明されていますので、国民と革命の間に亀裂をもたらすことはありません。なぜなら、その上、私たちはいろいろな場所を訪問するという活動のシステムをもっていますし、常に住民と話し合っています、これらの問題について、説明が行われているからです。
なぜ、米国での抗議活動についての言及がないのでしょうか? 一般的に、警察の蛮行、特に黒人や貧しい人々に対する蛮行で終わっているのです。なぜ、ここ数日、米国の大学で行われた抗議活動中の警察の蛮行について言及されないのでしょうか? パレスチナ人の大義を支持し、米国が支援するイスラエルによるパレスチナ人に対するジェノサイドに反対する、平和的な、完全に平和的な抗議活動だったのです。 警察による弾圧、学生への虐待、教師への虐待、靴を人の首においています。高齢の教師が床に伏せられ、屈辱的な扱いを受けている光景を目にしました。そのようなことはキューバでは起こりません!
他のヨーロッパ諸国では、デモ隊が銃撃されたり、2日足らずで3,000人以上の囚人が出たりしていますが、平和的な抗議活動であったにもかかわらず、なぜそのような批判がないのでしょうか? なぜキューバの抗議は、そのようなことが増幅され、このような次元のものになっているのでしょうか?
例えば、今年の3月17日、私たちが社会的抗議が行われた3つの場所に直接接触したとき、夜7時ごろにはすでにすべてが完全に整然としていましたし、さらにその日、国内では日曜日の一部として人々が参加するさまざまな活動が行われていました。そして、依然として午前1時には中毒化のメディアの報道は、キューバ全土で大規模な抗議があったと報道していました。まったくのウソで、中傷で、捏造です。
ラモネさん、民族自決、独立、主権を望み、米国政府が覇権主義政策の一環として押し付けようとしているものとは異なるモデルを構築しようとしている国を攻撃するために、長年にわたって残忍な封鎖に頼り、革命を転覆させるために嘘に頼らざるを得ないような、世界をリードする大国の政府に、何を期待できるというのでしょうか、と私は言いたいです。 このような捏造は、あまりに邪悪で低俗です。
私たちがそんなに間違っているのなら、私たちがそんなに非効率的なのなら、私たちがそんなに失敗国家なのなら、私に制裁を加える必要はありません。しかし、そうではないのです。自慢するのでもなく、キューバの大国主義でもなく、キューバがラテンアメリカ・カリブ海諸国、そして世界にとっての模範であることを、私たちは知っています。なぜなら、世界のどれだけの人々が、キューバとの連帯を人生の中心に置いているかを、常に見ることができるからです。そして、それは好みによるものではありません。模範が、信頼があるからですし、私たちを大きな責務を持って導く光があるからです。それを、私たちは、裏切ることはできないからです。それこそが、なぜあのような強大な政府が、小国を制圧するためにあのような手段をとらなければならないのかを説明する唯一の理由なのです。
イグナシオ・ラモネ:大統領、ここで一休止しましょう。
(新藤通弘訳)